先月、菅首相が2050年までの二酸化炭素(CO2)排出実質ゼロを宣言しました。
しかしその具体策は、原発を再稼働させることでした。

でも原発は、そもそも温暖化対策にはなりません。理由はたくさんありますが、主に5つを挙げてみました。

1. 省エネと自然エネルギーがますます遅れる
CO2削減を原発に頼ることで、CO2排出ゼロのために欠かせない、省エネの促進と自然エネルギーの拡大がますます遅れることになってしまいます。
CO2削減策を原発に頼らないと決めることで、省エネも自然エネルギーの普及も進みます。

 2. 原発はすぐ止まる
原発は、トラブル、不祥事、裁判、自然災害などで計画通りの運転ができないことがしばしばあります。そのたびに予備の火力発電を動かすことになります。また、約1年ごとの定期点検で運転を停止する間のバックアップに、原発が増えるとともに火力も増やしてきました。原発に頼ったばかりに、逆にCO2の排出が増えることになってしまったのです。
日本現存する33基の原発のうちの14基は稼働から30年を超える老朽原発。古くなればなるほど、不具合も増え、発電は不安定になります。

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老朽化した高浜原発

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3原発も温暖化を進める
原発も発電のしくみは火力と同じで、お湯を沸かしてその蒸気でタービンを回します。燃料のウランは、核分裂による熱でお湯を沸かすのでCO2が出ません。
一方でウランの採掘、精製、加工時ではCO2が出ますし、輸送でもCO2が出ます。燃やした後は使用済み核燃料となり、数万年、環境から隔離しなければなりません。その設備の建設・維持にもCO2が排出されます。
もう一つの問題は「温排水」です。原発では燃料を冷やすために海水を使い、使用後は海に棄てています。入れたときより7〜10℃温まった状態で棄てられるため、海水温を上昇させ、排水口付近の生態系に影響を与えます。

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船で輸送される核廃棄物

 4. 気候危機回避に間に合わない
気候危機はまったなし。でも原発は、計画から稼働開始までとても長い期間がかかります。
たとえば、日本で1番新しい原発は2009年12月に運転を開始した北海道電力の泊原発3号機。北海道電力が、建設準備のため泊村に申し入れしたのは1996年ですから、13年かかっています。
すでに大きな被害をもたらしている気候変動。この10年でCO2を半減しないと間に合わないのです。

 5原発は持続可能じゃない
原発は、通常運転でも大量の放射能を海や大気に放出しています。また、燃料の採掘・精製・輸送・加工、そして運転時の「被ばく労働」が前提です。原発は、持続可能な発電方法ではないのです。
そして、過酷事故が起きれば、被害は甚大です。東電福島第一原発事故発生から10年になろうとする今も約4万人が避難生活を余儀なくされています。事故対応に要する金額は、総額で81兆円との試算もあります(廃炉・汚染水処理で51兆円、賠償で10兆円、除染で20兆円:「日本経済研究センター」試算)。

原発のない社会のために寄付

2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロにするには

実際に2050年二酸化炭素排出実質ゼロのために長野県がつくった「長野県気候危機突破方針」を見てみましょう。

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まずは省エネ。
使うエネルギーを3割に。

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再生可能エネルギーを3倍以上に。
長野県の計画では、これで2016年度の総排出量1,450万トンのCO2を2050年度までに実質ゼロへ。

長野県では、ソーラー、小水力、バイオマス、地熱での発電に加え、その副産物としての熱利用も試算に加えています。
自然エネルギーはあくまで「持続可能な」自然エネルギーでなければなりません。
だからこそ、まずは徹底した省エネが大事ですよね。
それでも、ものを燃やせばCO2は出ます。なので、実質ゼロにするためには、CO2を吸収してくれる森林を増やすこと、海洋、土壌を守ることが大事です。

グリーンピースでは、ゼロエミッション東京を実現するために東京都内の自治体の脱炭素化に取り組むための情報交換のためのグループをFacebookにつくりました。
そこに参加している皆で、自分の住んでいる自治体の温暖化対策を調べています。
● そもそも温暖化対策計画、ある?決まってる?
● その策定プロセスは?(市民関与できる?)
● 情報公開してる?
● 首長や議員の考えや方針は?(環境審議会や議会の傍聴もできるから、聞いてみよう!)
● ゼロカーボンシティ表明してくれそう?(メール、電話、面談などで表明希望を伝えていこう!)

省エネと自然エネルギーによる温暖化対策は、実現可能です。
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グリーンピース・ジャパン
サポーター窓口 金海初芽

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